新型出生前診断,適応拡大へ

 先日,新型出生前診断(NIPT)をめぐって大きな動きがありました。今年の春を目途に適応が全年齢に拡大される方向のようです(読売新聞 毎日新聞)。ちなみに,日本ダウン症協会は出生前診断や着床前診断が胎児のスクリーニングに用いられることに対して,以前より明確に反対しています(https://jdss.or.jp/project/05.html https://jdss.or.jp/info/index.html#info267)。しかし,欧米の流れを見るとこれは仕方のないことかもしれません。妊婦が検査を受ける権利,真実を知る権利がより重要視されているからです。

 一方で,認定施設に限っても出生前診断で陽性の妊婦の約9割が中絶を行っているという現実があります。そもそも日本では胎児の障害や異常を理由とした中絶は法律上認められていません。中絶は母体保護法によって行われており,あくまでも母親の都合(身体的・経済的)によってのみ許されています。しかし,経済的な理由で育てることが出来ないということにして実際には行われています。

 今回の適応拡大もそうですが,出生前診断がより容易に行われるようになり,その結果,中絶が増えてくることは海外を見ても避けられないと思います。しかし,染色体異常のある胎児のそのほとんどは自然に流産してしまいます。その中で,今ある命は必死に生きようとしているのです。

 個々それぞれの事情があり,検査をすること,中絶を選ぶことを当団体として否定するつもりはありませんが,最も避けなければならないのは,生まれてきた命が粗末に扱われることだと考えます。そのため,当団体で可能な限りの支援を提案するとともに,出生前診断でお悩みの方からの相談も受け付けています。希望者はお問い合わせからどうぞ。